物理のエッセンスで基礎固め

目次

構成と特徴

「力学・波動」と「熱・電磁気・原子」の2冊に分かれています。だからそのぶん薄い。この薄さは「何度も復習する」という観点からすると重要です。手にとってページをめくるときの心理的抵抗が少なくなります。

その見た目とは違い、中身はエッセンス(本質)の名にふさわしく濃いです。まさに受験で戦えるだけの知識が凝縮されています(でも、まあ、2冊合わせると300問近くあるので当然か)。

中身を見ていくと、各テーマごとにまず導入があり次に問題の順番となっています。

導入を読んだとき「学校で一通り学習したので、これだけでわかる」という人はそのまま問題に進んでください。わからない場合は、くわしい参考書で予習してエッセンスに取り組みます。

メリット

1問が短い。これは「何度も復習」の観点からすると重要です。

エッセンスは基礎知識を仕入れる(解放パターン暗記)のために使います。1問が短いとまだ覚えていない知識が何であるのかが確認しやすくなります。

基礎知識を仕入れる段階の人にとっては、「大問ごとに小問がいくつかかある」という構成の問題集だと、復習するのは面倒です。

何が面倒かというと、まず問題文が長い。さらに(3)だけ復習したいのに(1)や(2)の問題も復習しないといけない。じゃないと(3)の内容がわからない。

1問の中で「複数の知識を確認できる」のは、一見するとお得感がります。しかし実際、解法暗記をすすめていくと復習するのがしんどくなってきます。

もちろん、全分野の解法を一通り覚えたうえで、入試に近い形式で問題演習するなら「大問・小問」構成の問題集は必須です。それぞれの知識の組み合わせ方も練習しないと時間内には解けません。

けれども、基礎を習得する段階では、「1問が短い」問題集で反復学習をして基礎固めをすべきです。そのほうが次のレベルに上がっても滞りなく学習することができます。

デメリット

初心者からすると解説が乏しい。

けれども何度も復習しているとわかってきます。むしろ、「これくらいの解説のほうがちょうどいい」と思えてきます。

この欠点はくわしい参考書で補います。ここで注意しておきたいのは、くわしい参考書にのめり込みすぎてはいけないということです。あくまでエッセンスの補助です。

先ほども述べましたが、解法パターンを覚えることを優先します。それには反復学習が欠かせません。それに向いているのはエッセンスです。

また個人的に使いづらいと思うのは、問題がページの途中にあることです。案外探すのが面倒なんです。数学のチャート式や化学基礎問題精講に慣れているとなおさらです。

以上、デメリットもありますがトータルとしてメリットのほうが大きいと思うので、当塾ではエッセンスを指定教材にしています。

到達レベル

『物理のエッセンス』を使って勉強すれば共通テストで満点を狙えます。控えめに言っても8割は取れます。

センター試験・共通テストの過去問で8割を超えないなら復習不足です。より上の問題集をするよりも『物理のエッセンス』をやりこみましょう。

使用期間

2冊合わせて4~8カ月で終わらせます。1週間あたり20問ずつのペースで進めていけば終わります。わりと余裕のある設定です。

この使用期間は、初学者を想定した設定です。確実に使える状態にするために、復習をやりつつ進めていくので、これくらいの期間はかかります。

学校の授業をまじめに聞いていて、物理を一通り学習した人なら2か月以内に終わらせることも可能です。しかし、授業をまじめに聞いていなくて初学者とたいして変わらないレベルなら、無理せず時間をかけて取り組むことをおすすめします。

受験までに1年を切ったのに、物理が苦手という人にはエッセンスは厳しいかもしれません。「共通テストで7~8割取れれば十分」という人は、「問題数がしぼられていて、かつ解説がくわしい参考書・問題集」と過去問に集中したほうがいいでしょう。『大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理が面白いほどわかる本』シリーズがおすすめです。

使い方

学習する単元の概要を読む

『物理のエッセンス』の概要を学習しているところ
『物理のエッセンス』の概要に線を引く

解説のくわしい参考書を読む

手順分けする

ルーズリーフにまとめる

解答はノートやルーズリーフにまとめることをおすすめします。当塾では指導の一環として必ずルーズリーフにまとめてもらいます。

問題集の解答だけだと、図や計算過程などが省略されています。知識がついてくると、くどくなくちょうどいい解説に思えてきます。しかし、学習をやりはじめのころは、図や計算を書き足すほうがいいです。復習するときに「これどうするんだっけ?」という疑問がなくなるので、無駄に滞ることなく復習できます。

「解答に書きこめばいい」と思うかもしれませんが、余白がせまいので見にくくなります。また、解答は文字も小さいし行間もつまっているので復習するときがしんどいです。復習は、はじめのうちは「1から全部思いだす」のではなく、「解答の流れ」を確認するために行います。そのため、小さい字を見るために目を凝らしていたら疲れてしまって量をこなせません。

ノートにまとめるのはたしかに時間がかかりますが、長い目で見ると効率よく復習できます。解答ノートの例を載せておきます。ポイントは1.2.3.というように手順を振ること、行間をあけることです。こうすることで、無駄に目を疲れさせることなく復習ができるようになります。

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何度も復習する

物理のエッセンスは初心者から使えます。むしろ初心者から使うべきです(受験までに1年以上時間があることが前提)。

基礎レベルの解法パターンが網羅されていて、かつ必要な解法パターンを手早く仕入れるのに向いているからです。

たしかに初心者の状態で使うと難しい。だから単元ごとに解説の詳しい参考書で予習します。『大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理が面白いほどわかる本』や『宇宙一わかりやすい高校物理』シリーズがおすすめです。

物理に限った話ではありませんが、受験勉強で大切なことは基礎レベルの問題を解けるようにすることです。もちろん理解できるに越したことはありません。けれど、すぐには理解できないことがほとんどです。

物理の現象に慣れるのには時間がかかります。現象をしっかり理解しないと問題が解けないなんてことはありません。「なぜこうなるのか?」という疑問を抱えつつも問題が解けるようになることを優先します。

「理解してから問題演習に入ろう」という考えでは時間がいくらあっても足りません。ある程度知識を仕入れたら即エッセンスで解法暗記。現象の理解はほどほどに。問題文を読んだら、使うべき公式、解答の流れが閃けたらよしとします。

くり返し解いているうちに「そういうものだ」と頭が慣れてきます。はじめはわからなくても、復習を5回ほどすればたいていの問題は理解できるようになります。それでも覚えにくいものは、印をつけてしばらく放置します。学習をすすめることで知識が蓄えられるので、見落としていた問題に対する着眼点が見えてきます。

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